明日へのリーダー100人に選ばれた話
更新日:4月30日
スイスのSt.Gallenと呼ばれる街で、毎年あるシンポジウムが開催されている。世界中から若手リーダーや専門家を選出し、3日間議論を交わすのだ。今年52回目となるそのシンポジウムに私は選出された。今回の記事では、なぜ選ばれたのかとシンポジウムへの意気込みを語りたい。


St.Gallenは、ドイツとの国境にあるコンスタンツ湖の南に位置する。人口7万人の小さな綺麗な街らしい。歴史のある図書館が世界遺産にも認定されている。
まずSt.Gallenシンポジウムとは何か?概要はこちら
『St.Gallenシンポジウムは1969 年に設立された。St.Gallen大学の学生グループがInternational Students’ Committee (ISC)を立ち上げ、企業のCEOや各国の政治家を招き、時のトピックを議論する場を設けた。1972年、第3回のシンポジウムでは、「ローマクラブ」や「成長の限界」が取り上げられた。現在まで続くシンポジウムは、世代を超えた対話のための世界で最も長く、関連性のあるプラットフォームとなった。参加者は約1000人で、内訳は次の通り。明日のリーダー(30歳以下)100人、シニアリーダー(政治家や学者)600人、Aspiring Leaders野心的?リーダー数百人。これらが3日間の議論や交流を通し、現在の意思決定者が次世代を念頭に置いてリードするように促すことを目指している。』
こんな感じで、50年以上前から続くシンポジウムで、過去にはどこかの大統領や国連理事長、そしてあのBlackRockのCEOなどがゲストスピーカーとして招待されている。今年2月に、私の学科から「こんなシンポジウムがあるから申請してみたら?」とメールが来た。テスト期間と被っていたが、テーマが面白そうだから応募したら受かったのだ。ちなみに気になる出資者だが、400の企業の協賛によって成り立っている。中でも主な出資者はABB, `Accenture, Hewlett-Packard Enterprise, Microsoft, Credit Suisse, Swiss Reなどらしい。
選出方法は次の通り。修士か博士以上(在学も含め)の学歴を持つ29歳以下の人が応募できる。英文エッセイを書いて申請し、世界中の応募者から100人が選ばれる(倍率はわからない)。選ばれた100人は、スイスのSt.Gallen大学に集まり、3日間のシンポジウムに参加することができる。シンポジウムでは、ゲストスピーカーの講演を聞いたり、パネルディスカッションに参加したりするようだ。世界中どこから来ても、旅費や宿泊費、食費などはカバーされる。自分はドイツ在住のため電車で行けるが、タダで日本から飛行機乗って行くこともできたのだ….

シンポジウムの様子。COP25みたいな、よく見る海外のシンポジウムって感じ。
今年のエッセイのテーマは、
“The best or worst legacy from previous generations: How to preserve or replace it?“ 訳:「前世代からの遺産または負の遺産: それをどのように保存または変えるか?」
このテーマを見て私の脳内はこうなった。「前世代、祖先、遺産、自然、文化、天皇、日本、歴史、次世代、子供のため、、、、魂!!!そう、前世代からの遺産といえば魂だ!このテーマなら、参政党の吉野先生が度々話していることを書ける!」そこで私は、”Inherited Sprit Gives You Purpose in Life in Global Society“「グローバル社会において、受け継がれた魂は人生に目的を与える」と題してエッセイを書き始めた。

吉野先生、演説をエッセイで使わせていただきました。ありがとうございます。
A4、3ページ分のエッセイだが、日本語に直すとこんな感じ。

A4、3ページ分のエッセイ
日本語に直すとこんな感じ。
序章
人生の目的とはなんだろうか?前世代から受け継いだ遺産とは?文化、自然、自由や民主主義、色々あるが、私は魂だと考えている。そして魂こそが、あなたに人生の生きる目的を与えてくれるのだ。
受け継いだ魂
縄文人は世界で初めて植林をしたと言われている。世界中の文明が自然破壊や戦争で滅びる中、縄文文化は何万年と続いた。縄文人の寿命は30歳。植えた木が成長するまで50年。つまり縄文人自分の為ではなく子のため、孫のために植林をしていた。おかげで日本は自然豊かで、天皇という特別な統治制度の下、世界で最も歴史のある国にもなった。子、親2、祖父母4、曹祖父母8…..と命は2の累乗で繋がっていく。それだけ多くの祖先が今より厳しい時代を生き抜き、あなたに命を繋げてくれた。だから彼らの思いはDNAに刻まれているはずである。あなたが受け継いだ魂を、今度はあなた自身が磨き、子に引き継ぐこと。それこそが皆が生まれ持った生きる目的ではないだろうか。
教育と伝統
我が国の若者の死因のトップは自殺である(30%)。そして最も多い自殺の動機は「なんとなく」だ。なぜ彼らは生きる目的を見失ってしまったのか?私たちが生きる目的を見出すためには、正しい歴史や文化の教育が必須だ。1960年代、イギリスは自虐教育を取り入れた。結果、失業者が溢れ経済は破壊的ダメージを負った。いわゆるイギリス病だ。20年後、教育や政策の改善でイギリス経済は回復したが、1990年から現在に至るまで30年間イギリス病にかかっている国が世界で一つある。それが日本だ。自虐史観は祖先への尊敬の念を軽薄にし、母国のために働く意志を削ぐ。さらに文化の破壊や森や田んぼなど自然の衰退は、先祖が守り抜いてきた遺産に子供が直接触れられないことを意味する。若者が「自分は祖先から魂を受け継いでいるんだ」という意識を取り戻したとき、彼らは生きる目的を見出し、自殺者も減るだろう。
伝統の保存とグローバリズム
伝統は魂を受け継ぐために必要だが、今日の世界はどうだろう。田んぼや水源はグローバル資本に買い叩かれ、田園風景の代わりにソーラーパネルが並ぶ。海外資本の看板が立ち並んだ廃れた森を見て、子供は祖先のありがたみを感じられるだろうか。グローバル社会には二面性がある。確かにヒトやモノの移動は便利になった。現に私もドイツで留学中であり、国境を超えた学術交流も体験している。しかしグローバリズムが資本主義と手を組んだとき、それはときには、一国の議会や民主主義に勝る力となってしまう。国民の知らないところでグローバル企業の主要人が世界の未来を決めてしまうこともある。一見便利なグローバリズムだが、私たちはそれを注視し、自国の資源や伝統は自国民で守っていく必要がある。先祖魂を削り国と資源を守り、あなたまで命を繋いだように、あなたは子のためにそうできるか。あなたの子や孫は、あなたが残した国を見て、あなたの魂を感じ取り、尊敬することができるか。生きる目的を与えてくれる魂こそが、前世代から皆平等に受け継いだかけがえの無い遺産であり、人生をかけて魂を磨き後世に伝えることが私たちの生きる目的ではないだろうか。
以上
参政党の吉野先生を知る人には聞き慣れた主張だと思う。先にも述べたように、このシンポジウムには国連や大企業のCEOが招かれる。去年はカナダのトルドー首相が演説したようだ。トルドー首相といえば、コロナワクチンを半強制的に進め、トラック運転手によるデモ(フリーダムコンボイ)を「狂った危険人物の集まり」と揶揄した人物で、世界経済フォーラムのメンバーでもあり、まさにグローバリストの一人である。集まる企業も大半はグローバル企業だ。だからこそ、私の反グローバル感満載のエッセイが審査に通ったことに私は驚きを隠せない。参加者の若手リーダー100人はどれも世界トップ大学の博士課程やベンチャー企業のCEOだったりする。オックスフォード、ハーバード、イェール大学など、どれも聞いたことある大学ばっかりだ。自分がなぜ選ばれたのかますます分からない笑。アメリカのように、ヨーロッパも国によっては反グローバルの国民が半数近くまで増えてきている。私のエッセイに共感してくれた審査員がいるのかもしれない。
審査に通りやすいような内容に変えようかとも思ったが、嘘はつきたくなかった。結果選んでもらえたので、この機会を存分に使い、世界の次世代リーダーとの人脈を広げたい。開催日は5月3 - 5日。報告を楽しみにしていてください!

P.S. エッセイの最優秀者は賞金として20,000 CHF = 300万円を受け取れる。自分はtop25にも選ばれなかったが、日本人2人がtop25に選ばれているので、さらなる良い結果を祈ろう!優勝したらスイスビールでも奢ってもらおう。

世界遺産のSt.Gallen Abby Library

シンポジウム前日に参加者と一緒に登山予定のSantis Mountain
スイスは山が綺麗です